ちなみに、オバマが5月10日にスティーブンスの後任判事として元ハーバード大学ロースクール学長のエレナ・ケイガンを指名した時にも、主要紙は特大ニュースとして1面トップで報道している。



翌日付のニューヨーク・タイムズはスティーブンス退任時と同様に、中面でも見開き2ページでケイガン指名関連報道を全面展開。目玉は、彼女の人生をカラフルに描いたフィーチャー記事「現実主義のニューヨーカー」。高校時代の写真のほか、影響を受けた人の写真なども満載で、日経文化面の「私の履歴書」を彷彿とさせる内容だった。
同紙は、ホワイトハウスが積極的に情報開示してくれたから紙面上で大きな扱いにしたのではない。独自の取材で情報を集めて1面トップ記事にしたのである。
日本の最高裁判事人事はベタ記事扱い
ソトマイヨール、スティーブンス、ケイガンの3人は最高裁判事であり、最高裁長官ではない。比較のため、日本の最高裁判事(長官ではない)の人事がどう報じられているのか点検してみた。今年は新たに4人が最高裁判事に任命されており、直近では5月14日に新任判事に内定した大谷剛彦だ。
読売、朝日、毎日、日経の4紙を見ると、同日付の夕刊で一斉に新判事内定のニュースを伝えている。そろって「ベタ記事」である。1段見出しの記事で最小の扱いということだ。しかも1面ではなく中面の記事にしている。
それから1カ月にわたって新判事・大谷についての続報はなかった。取材時間が十分にあったにもかかわらず、4紙は彼がどんな教育を受け、地裁や高裁時代にどんな判決に関与したのか、何も報じなかったわけだ。
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